株式会社REAL BODY

なぜ前庭覚は、子どもの発達にも大人の発達にも大切なの?

~発達の土台となる「安心感」の話~

前回の記事では、私たちは感覚入力によって自分の状態を知り、その感覚が心や身体の余裕につながるというお話をしました。

そして、人間には7つの感覚があり、その中でも前庭覚・固有受容覚・触覚は、自分の状態を知るために特に重要な感覚だというお話もしました。

今回は、その最初の感覚である「前庭覚」についてお話ししていきます。

前庭覚という言葉は聞き慣れないかもしれません。

でも実は、この感覚は赤ちゃんの発達だけでなく、大人の生きやすさにも深く関わっています。

前庭覚は「バランス」を感じる感覚

前庭覚は、耳の奥にある前庭という場所で感じ取られる感覚です。

身体の傾き。
スピードの変化。
重力の方向。
空間の中での自分の位置。

こうした情報を脳へ伝えています。

簡単に言うと、「今、自分の身体がどうなっているのか」を知るための感覚です。

私たちが寝返りやハイハイを通して上下左右を学んだり、立ったり、歩いたり、振り向いたりできるのも、この前庭覚が働いているからです。

赤ちゃんは揺れながら前庭覚を育てている

赤ちゃんは、生まれた瞬間から前庭覚を使っています。

抱っこで揺られる。
寝返りをする。
ハイハイをする。
つかまり立ちをする。
歩き始める。

こうした経験のひとつひとつが、前庭覚への刺激になっています。

つまり赤ちゃんは、身体を動かしながら、
「自分はどこにいるのか」
「どう動いているのか」
を学んでいるのです。

発達とは、単に筋力がつくことではありません。

感覚を通して自分を知り、世界を知っていくプロセスでもあります。

前庭覚が育つと、身体は安心しやすくなる

私たちは普段、当たり前のように立ったり歩いたりしています。
でもそれは、前庭覚が今の身体の状態を脳へ伝えてくれているからこその「当たり前」です。

では、もしその情報が不足していたり、不安定だったらどうでしょう。

身体は、「今、自分は安全なのか」を判断しにくくなります。

実際に、めまいやふらつきを感じると、不安になったり怖くなったりすることがあります。
それは身体が、自分の状態を把握しづらくなっているからです。

反対に、自分の身体が今どんな状態なのかを感じ取りやすくなると、身体は「大丈夫」と判断しやすくなり、人は安心しやすくなります。

つまり前庭覚は、単にバランスを取るためだけの感覚ではありません。
身体に安心感をもたらすためにも大切な感覚なのです。

安心感があると、人は「待てる」

子どもの発達を見ていると、

待つこと。
見守ること。
相手のペースを尊重すること。

といった親のスタンスがとても大切になります。

でも実際には、

「危ない!」
「違うよ!」
「早くして!」

と、つい先回りしてしまうこともあります。
もちろん、それは愛情があるからです。

でも、その背景には不安が隠れていることも少なくありません。

前庭覚が育ち、身体の中に安心感があると、人はすぐに答えを出そうとしなくなります。

すぐに反応しなくなる。
少し様子を見てみようと思える。
相手のペースを待てる。

そんな余裕が生まれます。

「待てない」のは、性格ではなく安心感の問題かもしれない

私たちは、人との関係を築くときも、自分の価値観や経験を通して相手を見ています。

そして不安が強くなっているときほど、

「普通はこうするよね」
「こうするべきでしょ」
「なんでできないの?」
という自分の基準だけで判断しやすくなります。

すると、

相手を理解する前に決めつける。
相手を待つ前に口を出す。
相手を信頼する前に自分でやってしまう。

そんなことが起こりやすくなります。

これはパパ(夫)との関係でも、子どもとの関係でも同じです。

信頼は最初からあるものではありません。
時間をかけて積み重なっていくものです。

だからこそ、

相手ができるようになるまで待つこと。
失敗することも許容すること。
相手のペースを尊重すること。

が大切になります。

そして、その土台となるのが安心感なのです。

子どもの発達を支えるために、まずは大人も発達する

REALBODYでは、ママがラクになることをゴールにはしていません。

本当に目指しているのは、子どもたちが自分らしく育っていけることです。

そして、そのためには子どもだけでなく、大人も発達し続けることが大切だと考えています。

子どもの発達を見守る力。
待つ力。
信じる力。

それらは知識だけで身につくものではありません。

まずは、自分自身の中に安心感があること。

前庭覚は、その土台を支える感覚のひとつです。
だから前庭覚は、赤ちゃんだけに必要な感覚ではありません。

大人になった今でも育てていくことができます。

そして、その感覚が育つことで、自分自身にも余裕が生まれ、その余裕が子どもの発達を見守る力へとつながっていくのです。

次回は「固有受容覚」について

前庭覚が身体のバランスを感じる感覚だとしたら、固有受容覚は身体の位置や力加減を感じる感覚です。

「頑張りすぎてしまう」
「力の抜き方がわからない」
そんな人ほど関係が深い感覚かもしれません。

次回は、固有受容覚について詳しくお話ししていきます。

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