~自分の状態がわかると、余裕が生まれる理由~

前回の記事では、
産後のイライラは性格の問題ではなく、身体や心に余裕がなくなった結果として現れるサインかもしれない、というお話をしました。
そして、その余裕を取り戻すために役立つのが「感覚入力」です。
感覚入力というと難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと、
身体が感じ取った情報を脳へ届けること。
例えば、
・身体を動かしたときの感覚
・触れられたときの感覚
・姿勢やバランスの感覚
こうした情報は、私たちが意識していなくても常に身体から脳へ送られています。
では、なぜその感覚が、自分の状態を知ることや心の余裕につながるのでしょうか。
人は感覚によって自分を知る
目的地へ向かうためには、まず現在地がわからないといけません。
今どこにいるのかわからなければ、右へ行けばいいのか、左へ行けばいいのかもわかりません。
身体も同じです。
疲れているのか。
まだ頑張れるのか。
休んだ方がいいのか。
本当は無理をしているのか。
まずは今の自分の状態がわからなければ、適切な判断をすることはできません。
ところが私たちは、自分のことを頭で理解しているようでいて、実は身体から送られてくる感覚をもとに、自分の状態を把握しています。
だからこそ、自分を知るためには「考えること」だけでなく、「感じること」も必要なんです。
感覚入力は、自分の現在地を教えてくれる
例えば、
身体が重たい。
足が疲れている。
肩に力が入っている。
呼吸が浅くなっている。
こうした状態は、誰かに教えてもらわなくても、本来は自分で感じ取ることができます。
でも、それは身体から脳へ感覚がしっかり届いているからこそできることです。
感覚入力が十分にあると、
「あ、今日は疲れているな」
「あ、ちょっと休んだ方がよさそうだな」
といった小さな変化にも気づきやすくなります。
反対に、自分の状態がわからなくなると、
疲れていても頑張る。
しんどくても無理をする。
力が入りっぱなしでも気づかない。
そんな状態が当たり前になっていきます。

産後は、自分の感覚が後回しになりやすい
以前の記事でもお伝えしたように、産後は赤ちゃんを優先する生活になります。
授乳。
抱っこ。
寝かしつけ。
夜間対応。
ママの意識は自然と赤ちゃんへ向いていきます。
さらに、妊娠・出産を経て脳や神経も赤ちゃんを守ることを優先しやすい状態へと変化しています。
そのため、
「お腹が空いた」
「疲れた」
「休みたい」
という自分自身の感覚は、後回しになりやすくなります。
実際、
気づいたら何時間も水分を取っていなかった。
トイレを我慢していた。
座ることすら忘れていた。
そんな経験があるママも多いのではないでしょうか。
自分の状態がわからないと、余裕はなくなっていく
疲れたら休む。
お腹が空いたら食べる。
身体が緊張していたら力を抜く。
これは当たり前のように見えて、実は自分の状態がわかっているからできることです。
でも、自分の状態がわからなければどうでしょう。
疲れていることに気づかないまま頑張る。
「ちょっと座れば大丈夫」と思って動き続ける。
休みたいのに、「これだけやってから」と後回しにする。
気づけば一日が終わっていて、自分のことは何もできていない。
そうすると少しずつ回復が追いつかなくなり、身体の余裕も心の余裕も減っていきます。
そして、その結果として、
イライラしやすくなる。
焦りやすくなる。
不安が強くなる。
涙が出やすくなる。
そんな状態につながっていくことも少なくありません。
感覚入力は、余裕を取り戻すための土台
感覚入力は、イライラを消すためのテクニックではありません。
まずは自分の状態に気づくためのものです。
今の自分はどうなっているのか。
疲れているのか。
頑張りすぎているのか。
休んだ方がいいのか。
それがわかるようになることで、無理を続ける前に調整できるようになります。
つまり感覚入力とは、
身体の声を聞くための入り口。
そして、自分自身を理解するための土台でもあるのです。
身体には、自分を知るための感覚がある
私たちは普段、
・見る(視覚)
・聞く(聴覚)
・嗅ぐ(嗅覚)
・味わう(味覚)
・触れる(触覚)
といった五感を使って生活しています。
でも実は、人間の身体にはそれだけでなく、
・前庭覚
・固有受容覚
を含めた7つの感覚を使って、外の世界だけでなく、自分自身の状態も認識しています。

その中でも、特に自分の状態を知ることや心と身体の余裕に深く関わるのが、
・前庭覚
・固有受容覚
・触覚
の3つです。
これらは赤ちゃんの発達にも欠かせない感覚ですが、実は大人にとっても、自分の状態を知り、心や身体の余裕を取り戻すために重要な感覚です。
では、これらの感覚はどのような役割を持っているのでしょうか。
次回からは、前庭覚・固有受容覚・触覚について、ひとつずつ詳しくお話ししていきます。