~ホルモンのせいだけでは説明できない理由~

「なんでこんなことでイライラしてるんだろう…」
子どもがなかなか寝ない。
夫の何気ない一言にカチンとくる。
部屋が散らかっているだけでイライラする。
本当は怒りたくないのに、つい強い口調になってしまう。
そんな経験はありませんか?
産後のイライラというと、「ホルモンバランスのせい」と言われることがよくあります。
もちろん、それも一つの要因です。
妊娠・出産を経て、女性の身体では大きなホルモン変化が起きています。
でも実際には、それだけでは説明できないこともたくさんあります。
なぜなら、同じように睡眠不足でも、同じように育児が大変でも、イライラすることもあれば、そこまで気にならないこともあるからです。
では、その違いはどこにあるのでしょうか。
イライラは「原因」ではなく「結果」
イライラというと、「怒ること」をイメージしやすいかもしれません。
でも実際には、
・なんだかピリピリする
・焦る
・不安になる
・涙が出やすくなる
・人に優しくできなくなる
といった状態も含まれます。
つまりイライラは、「怒り」という感情そのものではなく、身体や心に余裕がなくなった結果として現れるサインのひとつでもあるんです。
私たちはつい、
「子どもが言うことを聞かないからイライラする」
「夫が協力してくれないからイライラする」
と思いがちです。
でも、本当にそうでしょうか。
例えば、
子どもがお茶をこぼしたとしましょう。
ある日は、
「大丈夫だよー」
と笑って拭ける。
でもある日は、
「何やってるの!」
と強く言ってしまう。
起きた出来事は同じです。
違うのは、その時の自分の状態。
つまり、イライラの原因は出来事そのものではなく、その出来事を受け止める余裕が残っているかどうかにあることが少なくありません。

余裕がなくなると、脳は危険モードになる
前回の記事では、マミーブレインについてお話ししました。
妊娠・出産を経て、脳は赤ちゃんを守るための情報を優先して処理するよう変化していきます。
そこに加えて、
睡眠不足。
慣れない育児。
休めない毎日。
身体の痛みや不調。
こうした状態が続くと、脳や神経は常に緊張した状態になりやすくなります。
すると、
ちょっとした出来事にも敏感に反応しやすくなります。
普段なら気にならないことが気になる。
いつもなら流せることが流せない。
そんな状態が起こりやすくなるのです。
身体の余裕と心の余裕はつながっている
イライラというと、心の問題のように感じるかもしれません。
でも実際には、身体の状態が大きく関係しています。
例えば、
呼吸が浅い。
肩や首に力が入りっぱなし。
眠れていない。
疲れが抜けていない。
そんな状態では、身体はずっと頑張り続けています。
そして身体に余裕がなくなると、心の余裕もなくなっていきます。
逆に、身体が少しラクになると、不思議と気持ちにも余裕が戻ることがあります。
だからイライラをなくそうと頑張るよりも先に、
「今の私は余裕があるかな?」
と自分の状態に目を向けることが大切なんです。
本当に大切なのは、自分の状態に気づけること
前回の記事でもお伝えしたように、私たちには本来、
「疲れた」
「お腹が空いた」
「休みたい」
といった身体の状態を感じ取る力があります。
しかし産後は、赤ちゃんを優先する生活や脳・神経・身体の変化によって、自分の感覚が後回しになりやすくなります。
すると、
疲れていることに気づかない。
頑張りすぎていることに気づかない。
呼吸が浅くなっていることに気づかない。
そんな状態になりやすくなります。
そして、その積み重ねがイライラとして表に現れることも少なくありません。

イライラを責める必要はない
イライラしてしまう自分を見ると、
「母親失格だ」
「もっと優しくしなきゃ」
そう思ってしまう方もいます。
でも、イライラは悪者ではありません。
むしろ、
「もう余裕がありませんよ」
という身体からのサインかもしれません。
だからこそ大切なのは、イライラを無理に消そうとすることではなく、その奥にある身体や心の状態に気づいてあげること。
産後のイライラは、性格の問題でも、母親としての能力の問題でもありません。
まずは、自分自身の状態を知ることから始めてみてください。
そして、そのために役立つのが、身体への感覚入力です。
なぜ感覚入力が、自分の状態に気づく力や心の余裕につながるのか。
次回は、その仕組みについてお話ししていきます。