
前回の記事では、
産後に呼吸が浅くなりやすい理由についてお話しました。
ではなぜREALBODYでは、
産後ケアの中で「呼吸」を大切にしているのか。
それは呼吸が、単に酸素を取り込むためだけではなく、
“身体を支える力”
とも深く関係しているからです。
妊娠中、身体の“内側”では大きな変化が起きている
妊娠すると、お腹が大きくなるにつれて、身体の内側では少しずつ変化が起きていきます。
内臓は上や背中側へ追いやられ、横隔膜は上へ持ち上がり、呼吸の動きも変わっていきます。
さらに妊娠中は、「リラキシン」というホルモンの影響によって、関節を支えている靭帯も緩みやすくなります。
これは、赤ちゃんが骨盤の中で成長し、出産の時に産道を通れるようにするための、とても大切な身体の変化です。
でもその一方で、身体を支える力は不安定になりやすくなります。すると身体は、これまでとは違う支え方を覚えていきます。
反り腰になる。
肩で支える。
力を入れて固める。
妊娠・出産によって、身体は“頑張って支える身体”へ変わっていくのです。
出産したら、すぐ元に戻るわけではない
出産によってお腹が小さくなっても、身体の使い方まで、すぐ元通りになるわけではありません。
妊娠中、身体は長い時間をかけて、
その状態に適応してきました。
呼吸の仕方。
立ち方。
身体の支え方。
身体と神経は、
“今の状態”に合わせて働くことを覚えていきます。
だから産後は、身体を「戻す」というより、
もう一度、
“支え直していく”
ことが大切になります。
靭帯は、「今の身体」を支えようとする
靭帯には、関節を支える役割があります。
妊娠中に緩みやすくなっていた靭帯も、出産を機にリラキシンの分泌が大きく減少することで、“緩むモード”が少しずつ解除されていきます。
でもそれは、「自然に元へ戻る」というより、妊娠・出産によって変化した身体を、今の状態のまま支えようとする段階へ入っていくイメージに近いかもしれません。
靭帯そのものが身体を元へ戻してくれるというよりも、大切なのは“筋肉の働き”です。
呼吸によって横隔膜や腹横筋、骨盤底筋群などのインナーユニットが働き始めることで、身体は少しずつ、“元の位置関係で支えられる状態”を思い出していきます。
だからこそ産後は、無理に締めることより、内側から自然に支えられる身体を取り戻していくことが大切になるのです。

そこで大切になるのが「呼吸」
呼吸は、肺だけで行われているわけではありません。
呼吸に関わる「横隔膜」は、お腹を包むようについている「腹横筋」、骨盤の底にある「骨盤底筋群」、背骨を支える「多裂筋」とも連動しています。
これらは、
身体を内側から支える“インナーユニット”です。
私たちは本来、この深い部分が自然に働くことで、骨盤や背骨を安定させています。
つまり呼吸は、
「空気を入れ替えるため」だけではなく、
“身体を内側から支えるため”
にも使われているのです。
呼吸が変わると、「支え方」も変わっていく
呼吸によって横隔膜が動くと、腹横筋・骨盤底筋群・多裂筋といったインナーユニットも連動し、お腹の内側には“腹圧”が生まれます。
この腹圧は、身体を内側から支える
「天然のコルセット」のような役割をしています。
本来私たちは、この内側の支えによって、骨盤や背骨を安定させています。
でも妊娠・出産によって、呼吸が浅くなったり、インナーユニットが働きづらくなると、骨盤やお腹まわりを内側から支える力も弱くなっていきます。
すると身体は、不安定になった内側を補うように、外側の筋肉で支えようとします。
腰で支える。
肩で支える。
お尻を固める。
力を入れて安定させようとする。
そうやって“力で支える状態”が続くと、身体は少しずつ疲れやすくなっていきます。
さらに、本来インナーユニットによって支えられているはずのお腹の中の空間(腹腔)も、不安定になりやすくなります。
すると身体は、その余白を補うように、脂肪や水分、老廃物などを溜め込みやすくなることがあります。
体積を増やすことで、
身体は内側の安定を作ろうとするからです。
だから産後のお腹は、単に「脂肪がついた」というより、
“内側から支えづらくなっている状態”
に近いのかもしれません。
反対に、呼吸によってインナーユニットが働き始めると、身体は少しずつ、内側から支えやすい状態へ変わっていきます。
すると、
立ちやすくなる。
歩きやすくなる。
抱っこがラクになる。
力みが抜けやすくなる。
そんな変化が起こりやすくなるのです。