
産後ケアという言葉もここ数年で、少しずつ一般的になってきました。
「必要そう」と感じている人も増えてきている一方で、
・そこまで困ってるわけじゃないし…
・他のママもみんな頑張ってるし…
・自分のことより赤ちゃん優先でしょ…
・わざわざ受けるほどかな?
そんなふうに思っているママも、きっと多いと思います。実際、産後ケアは知っていても、「自分が利用するほどではない」と感じているママは少なくありません。
でも実は、産後ケアは
”限界の人だけが行く場所”ではありません。
むしろ、これから先の育児を、少しラクにしていくために受けるもの。
産後は、自分でも気づかないうちに、身体も心も「頑張ること」が当たり前になっていきます。
だからこそ、ボロボロになってからではなく、「まだ大丈夫」のうちに整えておくことが、とても大切です。
そして実は、産後の自分を整えることは、ママ自身のためだけではありません。
では、なぜ、産後ケアが必要なのか、改めて見ていきましょう。
産後の身体は、想像以上にフル稼働している
出産は、「想像以上だった…」と口にするママも多いですが、
産後も産後で、想像以上。
産んだからっておっぱいがすぐ出るわけでもないし、
産んだからってすぐにお腹がへこむわけでもないし、
産んだ後もこんなに痛みが続くなんて聞いてないし、
ましてや3時間授乳って3時間寝れるわけでもないなんて…
「聞いてないよ!」
「もっと早く教えておいてよ!」
と思うことが、本当に山ほどあります。
それに加えて、眠れていなくても、
赤ちゃんが泣けばすぐ反応して、
授乳して、抱っこして、気を張って…
赤ちゃんのお世話は待ったなし!
気づけば、自分のご飯は後回し。
トイレすら我慢していた。
そんな日もあるかもしれません。
しかも産後は、
妊娠前の「休めば回復する」ということはなく、
休めないことが大前提にある上に、“育児>回復”になりがちな時期。
だからこそ、
意識的に「整える時間」を作らないと、
身体も心も、どんどん後回しになりやすいんです。
不思議なくらい、自分のことが後回しになる
産後のママって、本当に不思議なくらい、自分のことが後回しになります。
赤ちゃんの小さな変化にはすぐ気づけるのに、
自分の疲れや違和感には気づけなくなる、なんてことがよくあります。
「赤ちゃんが寝たら家事しなきゃ」
「まだ動けるし大丈夫」
「私が頑張れば何とかなる」
そう思って、気づけばずっと動き続けている。
でも実はこれ、義務感や使命感といった
気持ちだけの問題というわけではありません。
本来、私たちの身体には、
「お腹が空いた」
「疲れている」
「呼吸が浅い」
「ちょっと休みたい」
そんな“身体の内側の状態”を感じ取る感覚があります。
これは「内受容感覚(ないじゅようかんかく)」と呼ばれる感覚のひとつです。
でも産後は、出産による大きなダメージや睡眠不足、張り詰めた状態が続くことで、その感覚を感じることが後回しになりやすくなります。
それは単に鈍くなるというより、
脳や神経が“今を乗り切ること”を優先している状態に近いイメージです。
例えば、もし、産後の痛みやしんどさを全部リアルに感じ続けなければならないとしたらどうでしょう。
想像するだけでも、ぞっとしますが…
とても育児どころじゃなくなってしまうことは、なんとなく想像できると思います。
さらに最新の研究では、脳の7%が減少することも解明されました。
この発表はSNS上でも一部では話題になって、
「妊娠で脳が縮む!」
「脳がダメージを受ける!」
とネガティブな解釈と発信で不安を煽るような発信も見かけましたが、
論文に書かれていた内容を要約すると
・妊娠〜産後にかけて
・灰白質(gray matter volume)が減少する領域がある
・特に「社会認知」「他者理解」「母子愛着」に関わる領域で変化が大きい
ということが書かれていました。
灰白質の減少…ちょっと難しいですね。
灰白質の減少というのは簡単に言うと、
使ってない神経回路を整理して、よく使う回路を効率化していくということを表しています。
つまり、産後に脳の7%が減少するのは、損傷や脳の機能低下ではなく、赤ちゃんを守るために必要な情報を優先して処理できるように最適化しているということです。
人間の身体ってすごいですよね~
だからこそ、その最適化が爆速で進む産後の時期に
“自分の感覚”に意識を向ける時間を持たないままでいると、
「疲れていることにも気づかない」
「呼吸が浅いまま頑張り続ける」
「何がしんどいのか、自分でもわからない」
そんな状態が当たり前になってしまう…なんてことが起こりえます。

ママが“自分を感じられること”は、赤ちゃんの安心にもつながっている
でも本来、ママが自分の身体感覚を感じられることは、赤ちゃんにとっても大切な安心の土台です。
産後、自分のことを後回しにしたまま頑張れてしまうのは、神経の再編成が起きている時期でもあるため、ある意味自然なことでもあります。
そして、ママの身体と心に少し余裕が戻ると、赤ちゃんを抱っこする手の力、呼吸のリズム、声のトーン、触れ方も自然と変わっていきます。
その”心地よい状態”は、脳や神経にも少しずつ定着していきます。
赤ちゃんは、そんな“ママの身体の状態”を感じながら育っていきます。
だから、ママが自分の疲れに気づけること。
「ちょっと休みたい」に気づけること。
深呼吸できること。
それは決して、自分を甘やかすことではありません。
むしろ、赤ちゃんが安心して育っていくことへ繋がっているのです。
「もっと早く頼ればよかった」
実際に産後ケアを受けたママたちからは、
「もっと早く頼ればよかった」
という声もよく聞きます。
周りに頼れたり、身体を整える時間を持てたことで、
自分や自分の育児を客観的にとらえることができたり、
自然と今の自分の状態に目が向きやすくなります。
なんかギスギスしてるのは、今、心に余裕がないんだなー
なんかイライラしてるのは、今、身体に余裕がないんだなー
そんなふうに、自分の状態を捉えることができるくらい
ママの身体や心に少し余裕が戻ってくると、
赤ちゃんが泣いたときに必要以上に焦らなくなったり、
授乳や抱っこをしているときに余計な力を抜けたり、
赤ちゃんと呼吸を合わせながら関われるようになったり、
赤ちゃんとの時間も、少しずつ楽になっていきます。
だから産後ケアは、ただ身体を休めるために必要というわけではありません。
産後に後回しになりやすい自分の感覚を取り戻し、ママ自身の回復と、赤ちゃんが安心して育っていく環境を整えるために必要な時間なんです。